「馬の臀部を6ヶ月かけてなめす」ウクライナ移民が1905年に始めた革の話。コードバン革靴4足の語れる背景【メンズ秋冬2026年】

「コードバン」という素材名を聞いたことがあっても、それが何から作られているかを知っている人は少ない——馬の臀部の特定部位のみを使い、自家製タンニン液に6ヶ月かけて漬け込む。

1905年にシカゴでウクライナ移民のイシドール・ホーウィンが始めたHorween Leather Companyは、現在も北米唯一のシェルコードバン製造タンナリーとして続いています。馬1頭から採れるコードバン層は全体の5%以下——「革の宝石」と呼ばれる理由が、この数字にあります。そのHorweenのコードバンを使った4足と、浅草の国産コードバンを組み合わせた靴を紹介します。

目次

1884年マサチューセッツ。コードバンという素材が何者かを一番語れるアメリカの革靴:Alden コードバンローファー

Alden(アルデン)は1884年、マサチューセッツ州ブロックトンで創業した革靴ブランドです。ブロックトンはかつてアメリカの靴産業の中心地で、Aldenはその地で100年以上Goodyear welt製法での手縫い革靴を作り続けてきた。コードバンの代名詞ブランドとして知られており、「HorweenのシェルコードバンはAldenが一番多い」と言われます——AldenがコードバンHorweenのコードバン製造が成立している、という相互関係がある。

コードバンローファーを初めて手に取ると、アッパーの硬さに少し戸惑います。牛革のように最初からしなやかではなく、板に近い均一な張り感から始まる。それが数週間後、自分の足の形に沿ってきたとき「これが育てる革か」と分かる——そういう話を、革靴を選ぶ理由にできるかどうかが、コードバンを買う人と買わない人の分かれ目です。「なぜこんなにツヤがあるの?」という問いへの答えが、「シカゴのウクライナ移民が1905年に始めた工場で、馬の臀部のコードバン層を6ヶ月かけてなめした革だから」と一直線に繋がります。

米国大統領が着用した記録が残るウィスコンシンの革靴:Allen Edmonds Park Avenue コードバン

Allen Edmonds(アレンエドモンズ)
¥102,699 (2026/08/07 09:15時点 | Amazon調べ)
Allen Edmonds(アレンエドモンズ)
¥87,575 (2026/08/07 09:15時点 | Amazon調べ)

Allen Edmonds(アレンエドモンズ)は1922年、ウィスコンシン州Port Washingtonで創業した革靴ブランドです。ロナルド・レーガン・ビル・クリントン・バラク・オバマといった米国大統領が着用した靴として記録が残っており、「大統領の靴」というニックネームを持ちます。ウィスコンシン州の自社工場でGoodyear welt製法で仕上げるアメリカ製革靴で、HorweenのシェルコードバンをPark Avenueモデルに使用しています。

Park Avenueはキャップトゥのオックスフォードで、ビジネスシューズの中で最も定番的なシルエットを持つモデルです。コードバン仕様は通常のレザーと比べてアッパーに厚みと硬さがあり、しっかり手入れをすれば数十年使える——「大統領が履いた靴のブランドで、Horweenのコードバン使用で、ウィスコンシン自社工場製」という3つの話が、この一足に全部乗っています。

1952年浅草創業の国産靴が、シカゴと同じ素材でビジネスシューズを作っている:REGAL コードバンプレーントゥ

REGAL(リーガル)
¥21,615 (2026/08/07 09:15時点 | Amazon調べ)

REGAL(リーガル)は1952年、東京・浅草で創業した日本の革靴ブランドです。現在も栃木県矢板市の自社工場でGoodyear welt製法での製造を続けており、国産革靴ブランドの中で最も広く知られた存在です。コードバンモデルにはHorweenのシェルコードバンまたは国産コードバンを使用しており、「シカゴのタンナリーで6ヶ月なめした馬の革が日本の革靴メーカーにも来ている」という繋がりが、REGALのコードバンモデルに存在します。

コードバンのプレーントゥは甲に装飾がない分、素材の光沢がそのまま出ます。ビジネスシューズとして毎日使っている同僚がコードバンのREGALを履いていたら、「その靴、何?」となる——国産の革靴で「これHorweenのコードバン使ってる」と言える靴を持っている人はかなり少ない。手入れにクリームを入れると、牛革とは違う「深いところからツヤが出てくる」感触があって、それがコードバンを選んだ理由に繋がってきます。

浅草の職人がHorweenコードバンを使って作るGoodyear welt製靴:スコッチグレイン コードバンプレーントゥ

スコッチグレインは東京・浅草を拠点とする革靴ブランドで、自社工場での一貫製造にこだわっています。HorweenのシェルコードバンをGoodyear welt製法で仕上げるコードバンモデルは、「国産靴でコードバンを本格的に使う」ブランドとして知られています。浅草の職人がシカゴのタンナリーから来た革を扱う——その工程が一足の靴に詰まっています。

スコッチグレインのコードバンプレーントゥは、アッパーが手に吸い付くような感触があります。コードバン層は繊維が緻密に詰まっているため、表面を触ると「革というより板に近い均一な張り」が返ってくる——この感触がコードバンの特性として語れます。「浅草のスコッチグレインがHorweenのコードバンで作ってる靴で、Goodyear welt製で、これが今の日本の本格革靴の一つの到達点」という説明が一文でまとまります。

まとめ:コードバンの話を語れる4足

4足を並べると、コードバンの本家筋(Alden)・大統領の靴(Allen Edmonds)・1952年浅草の国産(REGAL)・浅草職人×Horween(スコッチグレイン)と、シカゴのウクライナ移民が1905年に始めた革の話がアメリカ2足・日本2足に繋がっています。

4足を使い分けるなら——「コードバンで一番の話をしたい」人にはAlden、「大統領の靴という返しが欲しい」人にはAllen Edmonds、「毎日使うビジネスシューズで差をつけたい」人にはREGAL、「最初のコードバンを国内で入手しやすく」という人にはスコッチグレイン。「シカゴのウクライナ移民が1905年に始めた工場の革を、浅草の職人が縫っている」——この一文が出てくる靴を一足持つと、革靴の話の全員と違う角度に行けます。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

日常の靴選びから仕事に合わせた靴選びなど、さまざまな靴に関する情報をお届けしています。あなたの足元を彩る一足を見つけるお手伝いができれば幸いです。お気に入りの靴を見つけて、毎日の生活を足元から豊かにしてください。

コメント

コメントする

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)

CAPTCHA

目次