左右で足のサイズが違う人へ。大きいほうに合わせたあと、つま先を詰めてはいけません

同じ一足なのに、右だけきつい。左だけかかとが浮く。そういう感覚がある人は、たぶん気のせいではありません。

靴は左右同じサイズで売られています。ところが足のほうは、そうなっていません。この記事は、そのズレをどう埋めるかの話です。

先に結論だけ書いておきます。大きいほうの足に合わせて選ぶ。ここまでは正しい。問題はそのあとで、埋め方を間違えると別の問題を作ります。

この記事では、靴メーカーが書いていることは引用し、そこから先は編集部の見方として分けて書きます。

目次

先に、左右差は珍しくありません

「あゆみシューズ」を手がける徳武産業の公式ブログ(2024年再投稿)で、書き手が自分の足の計測データを公開しています。足長が左23.2センチ、右23.4センチ。右が2ミリ長く、足幅もかかとの幅も右のほうが大きい。そのうえで、こう書かれています。

「私のように左右で足の大きさが違うのは、決して珍しいことではありません。足に限った話ではないですが、人間の体は左右で大きさや形に差があるものです」。

片足ずつ靴を買えるサービスを運営しているDIFF.も、自社サイトで「ヒトのは左右非対称な生き物です。足も例外ではなく、ほとんどの人が左右でサイズが異なります」としています。こちらはミズノ株式会社の元シューズ開発者が創業した会社で、創業者自身が左右0.5センチの差に悩んでいたと書いています。

つまり差があるほうがふつうで、問題は差の大きさのほうです。ここからは編集部の見方ですが、数ミリなら気づかないまま過ごせるのに対し、日本の靴は0.5センチ刻みなので、左右差が5ミリあるということはちょうど1サイズぶん違うことになります。そのくらいになると、片方だけきつい、片方だけ浮く、という形で表に出てきます。

そして大事なのは、長さだけではないという点です。さきほどの計測例でも、長さが2ミリ違うだけでなく、足幅とかかとの幅も違っていました。「右が大きい」と分かっても、それが長さの話なのか幅の話なのかで、打つ手が変わります。

先に、幅が違う場合の答えを書いておきます。この記事でこれから紹介するパッド類は、どれもゆるい側を埋める道具です。つまりきつい側には効きません。大きいほうに合わせても幅が足りない、という場合は、埋めるのではなく広げる話になります。ワイズの表記があるものを選ぶか、修理店の「幅出し」に相談してください。天然の革であれば、当たる一点を部分的に伸ばしてもらえることがあります。

「大きいほうに合わせる」は正しい。問題はそのあと

では、左右で違うときにどちらに合わせるか。ここは同じブログにはっきり書かれています。

「小さい方の足に合わせて選んでしまうと、足が圧迫され、変形など足の疾患に繋がりかねません。ですので1足(左右同サイズ)での販売しかない靴の場合は、大きい方に合わせて選ぶことをおすすめします」。

ここまでは、たいていの人が知っていると思います。問題は、そのあとに続く一文です。大きいほうに合わせると、小さいほうの足には靴が余ります。その隙間をどうするか。

同じブログは、よくやられている2つの方法を名指しで否定しています。

ひとつめ、つま先に詰め物をすること。理由はこう書かれています。「靴のつま先には、足の指をある程度動かすことができるための隙間(捨て寸)が必要です。詰め物でつま先の隙間を埋めてしまうと、歩く際に指を動かすことが出来ません。指が動かせないと、地面をうまく蹴ることができないため、バランスが取りづらくなり歩行に良くない影響をあたえてしまします」。

ふたつめ、片足だけインソールを重ねること。「インソールの分だけ左右で靴の高さが変わってしまいます。左右で高さの違う靴を履いてしまうと、骨盤をはじめ、腰、肩、首、体全体のゆがみに繋がりかねないため、おすすめしません」。

これは効きます。足のサイズの左右差を埋めようとして、脚の長さの左右差を人工的に作ってしまう、ということだからです。片方だけ底上げするというのは、そういう操作です。

ここから先は編集部の見方です。埋め方にはやってはいけない方向があるということになります。前を埋めない。下を厚くしない。

では残るのは上と後ろです。ただし、この2つは同格ではありません。本命は「上」=甲で止めること。「後ろ」=かかとに厚みを入れる方法は、足を前へ押し出すぶん、つま先の余裕を食います。つまり、さきほどメーカーが挙げた2つの理由のうち、ひとつめ(捨て寸を潰すな)に近づく方向です。後ろは条件付きだと考えてください。

甲で止める:タンパッド

余っているのが「長さ」ではなく「高さ」や「ゆとり」なら、甲の裏に貼るパッドが使えます。舌革(タン)の裏側に貼って、上から甲を押さえるものです。

これが理にかなっているのは、足を後ろに留める働きをするからです。甲が押さえられると、足が前へ滑らなくなる。足が前に滑らなければ、つま先に余裕が残ったままになります。つま先の隙間を埋めずに、つま先が当たらない状態を作れるのが、この方法の利点だと考えています。

そして左右で厚みを変えても、靴の高さは変わりません。さきほどの「片足だけ底上げすると体がゆがみかねない」という指摘を避けられます。小さいほうの足の靴にだけ入れる、という使い方ができます。

紐靴なら、そもそも紐の締め方を左右で変えるという手が先にあります。お金がかかりません。小さいほうの足の靴を、一段しっかり締める。それだけで足りることもあります。

そしてもうひとつ、「片方だけかかとが浮く」人にいちばん勧めたい無料の手があります。ヒールロックと呼ばれる結び方です。いちばん上の穴を使って左右に輪を作り、そこへ反対側の紐を通してから引き上げると、足首から後ろががっちり止まります。かかとが浮く原因は足が前へずれることなので、そこを押さえれば症状ごと消えることがあります。

しかも片方の靴にだけかければいい。左右差への対処としては、これ以上に理にかなった方法はないと考えています。手順は靴ひもの記事に詳しく書きました。

後ろで止める。ただし条件付き:かかとの「後ろ」に貼るパッド

もうひとつが、かかとの内側に貼るパッドです。「片方だけかかとが浮く」という症状には、こちらが直接効きます。

ただし買うときに、絶対に間違えてはいけない点があります。かかと用として売られているものには、かかとの「後ろの壁」に貼るタイプと、かかとの「下」に敷くタイプ(ヒールクッション)の2つがあります。買うのは前者だけです。

後者を片足だけ入れると、それはこの記事が否定した「片足だけインソールを重ねる」そのものになります。左右で靴の高さが変わってしまう。同じ「かかとパッド」という名前で売られているので、形をよく見てから買ってください。

後ろの壁に貼るタイプなら、靴底の高さは変わりません。左右の脚の長さに影響を与えずに済みます。

そのかわり、さきほど書いたとおり足がその分だけ前に出ます。つま先に余裕がなければ、今度は指が当たる。「かかとを埋めたら、つま先が当たるようになった」というのは、この道具でいちばん多い失敗だと考えています。つま先に余裕が残っているかを確かめてから使ってください。

だから順番としては、甲で止めてみて、それでも足りなければかかと。甲で止めるほうが、つま先の余裕を食わずに済みます。

そもそも、片方ずつ買えます

ここまで「1足で買った靴をどう調整するか」を書いてきましたが、そもそも左右別で買うという道があります。

徳武産業のブログには、「弊社の『あゆみシューズ』は、業界で初めて左右サイズ違い販売や片方販売に取り組みました」とあります。そして「今や靴の片方販売は、珍しいものではなくなってきています」としつつ、「しかし商品を取り扱っている店舗が少ないのが現状です」とも書かれています。価格については片方の場合、1足の半分で設定されているところが多いとのことです。

スポーツシューズなら、DIFF.というサービスがあります。ミズノの元シューズ開発者が創業した会社で、既製品を片足ずつ、左右別サイズで買えるのが特徴です。扱っているのはサッカー、ランニング、ウォーキングで、ミズノ、アシックス、ナイキ、アディダスといったブランドが並びます。サイトには「足の左右差を診断する(無料)」というメニューも用意されています(2026年9月時点)。

正直に書いておくと、片方販売が使える範囲は、まだ限られています。介護シューズとスポーツシューズが中心で、通勤のビジネスシューズやパンプスで片方ずつ買えるものは、そう多くありません。そこはまだ調整でしのぐことになる、というのが現状だと思います。

まず測る:フットスケールとメジャー

ここまでの話は、自分の左右差が何ミリなのかを知らないと始まりません。

測り方は、これまでの記事でも書いてきた編集部のやり方です。測るのは2つ。足長は、かかとからいちばん長い指の先まで。紙の上に立って、かかとと指先に印をつければ測れます。足囲は、親指と小指の付け根のいちばん出ているところを、ぐるりと一周した長さ。

条件が3つ。立った状態で、体重をかけて。両足とも。そして足がむくみがちな夕方に。さきほどの計測例のように、長さだけでなく幅も違うことがあるので、両方測ってください。

そして差が何ミリなのかをメモしておく。5ミリなのか、1センチなのかで、調整で済むのか、片方販売を探すべきかが変わります。

紙とメジャーでも測れます。ただ、左右を同じ条件で、しかも年に何度か測り直すとなると、目盛りのついた計測器があるほうが早い。左右差を追いかける人ほど、道具のありがたみが出ます。

「足のサイズの左右差」と「脚の長さの左右差」は別の話です

混同されやすいので、分けておきます。

この記事が扱ってきたのは足のサイズの差です。これに対して脚の長さの差というものが別にあります。こちらは、片方だけ高さを補う対処が取られることがある領域です。「サイズ差を埋めるために片足だけ高くする」のと、「脚長差を補うために医療的な判断のもとで高さを足す」のは、まったく別の話だと考えてください。

見分け方の目安として、以前紹介した方法があります。足のクリニックの院長の解説では、膝を曲げた体育座りの格好になって、左右の膝の高さを比べる。ここに差があるなら、それは脚の長さの話かもしれません。

同じ解説によれば、左右差があっても1〜2センチくらいまでなら大きな影響はないとされ、それ以上あると一方の膝や股関節に負担がかかるので、早めに専門医にかかって原因を突き止めたほうがいいと書かれています。

つまり、足のサイズが違うだけなら靴の中で調整する。脚の長さが違うなら、自己判断で底上げせず、先に医療機関で確かめる。ここを混ぜないでください。

左右で締め分けるために:長めの靴ひも

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最後に、道具をひとつ。ここは編集部の見方です。

さきほどのヒールロックには、ひとつ条件があります。いちばん上の穴まで届く長さの紐が要るということです。短い紐だと、輪を作った時点で足りなくなります。結べなくて諦めた人は、紐の長さが原因だったかもしれません。

そして、ほどけにくさも効いてきます。左右で締め方を変えるということは、強く締めたほうがほどけやすくなるということでもあります。ガス紐と呼ばれる、表面を炙って毛羽を落とした紐は、馴染みがよくほどけにくいとされています。

あわせて、次の一足を選ぶときの話も。足を入れるだけで履けるスリッポンやパンプスは、左右を別々に合わせる手段を持っていません。合うか合わないかの二択になります。紐やストラップ、面ファスナーが付いた靴なら、左右で締め方を変えられます。

見るところをひとつ挙げるなら、調整できる場所が甲の上にあるかです。ここまで書いてきたとおり、埋めていいのは上と後ろ。甲の上で締められる靴は、それを最初から備えていることになります。

そして試し履きのときは、必ず両足とも履いて歩いてください。片足だけ履いて判断すると、左右差がある人はかなりの確率で外します。

まとめ:前を埋めない、下を厚くしない

整理します。左右差があるのはふつうのことで、1足で買うなら大きいほうに合わせる。これはメーカーが勧めているとおりです。

問題はそのあとの埋め方で、つま先に詰め物をしない。片足だけインソールを重ねない。どちらもメーカーが名指しで否定しています。前者は指が動かせなくなるから、後者は左右で靴の高さが変わるからです。

だから埋めるなら上が本命、後ろは条件付き。甲のパッドで止めて、足りなければかかと。かかとは足を前に押し出すので、つま先の余裕を確かめてからです。そしてかかとの「下」に敷くタイプは買わないこと。

まず1つだけと言われたら、片方の靴だけヒールロックで結ぶことです。お金がかからず、今日できて、かかとの浮きに直接効きます。そもそも、左右を同じ強さで締める理由はどこにもありません。

そして差が大きいなら、調整でしのぐより、片方ずつ買えるところを探すほうが早い。まだ選べる範囲は狭いですが、「靴は2足1組で買うもの」というほうが、ただの売り方の都合だという話でもあります。

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この記事を書いた人

日常の靴選びから仕事に合わせた靴選びなど、さまざまな靴に関する情報をお届けしています。あなたの足元を彩る一足を見つけるお手伝いができれば幸いです。お気に入りの靴を見つけて、毎日の生活を足元から豊かにしてください。

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