足裏のタコは、削る前に場所を見てください。靴のどこが合っていないかの記録です

靴を裏返すと、自分の歩き方の跡が残っています。では足の裏はどうか。タコは、同じ場所に力がかかり続けた記録です。靴底が外側から見た記録なら、足裏は内側から見た記録ということになります。

ただ、この記事は「削り方」の話にはなりません。編集部としては、自分で削ることを勧めません。理由を先に書きます。

この記事では、公的機関や専門の医療機関が書いていることは引用し、そこから先の「だから靴のここを見る」は編集部の見方として分けて書きます。

目次

先に、タコと魚の目は別物です

同じように扱われがちですが、皮膚科の解説では区別されています。

タコ(胼胝)は、芯がなく面で平たく厚くなるもので、痛みは比較的少ない。魚の目(鶏眼)は、中心に一点、硬い芯ができるもので、歩いたときや押したときに鋭い痛みが走る。厚くなる範囲ではなく、芯があるかどうかが分かれ目です。

そしてここが大事なのですが、皮膚科の解説には魚の目とよく似た別のものがあると書かれています。ウイルスが原因の足の裏のイボ(尋常性疣贅)です。見た目がよく似ていて、表面を削る前は区別がつかないことがあるとされています。そして治療法がまったく違う。

つまり、自分で「これは魚の目だ」と判断した時点で、すでに間違っている可能性があります。治療法がまったく違うものを、見た目だけで選り分けようとしていることになります。

自分で削らないでください

ここはこの記事でいちばん強く書いておきたいところです。

国立国際医療研究センター病院の糖尿病フットケア外来が監修している、糖尿病情報センターのフットケアの案内に、こうあります。

「タコやウオノメを自分で削ったり、市販薬を使ったりすることは危険です。専門の医師に相談しましょう」。

これは糖尿病のある方に向けた案内です。同じ案内では、理由が3つに分けて説明されています。神経障害で足の感覚が鈍くなり、足の異常に気づきにくくなること。血流障害で傷が治りにくく、潰瘍や壊疽まで進んでしまうことがあること。そして抵抗力が落ちて細菌に感染しやすくなること。

同じ案内には、神経障害があると足や足の指に変形が起こり、タコや靴ずれができやすくなるとも書かれています。糖尿病のある方にとって、足裏のタコは放置していい相談ではありません。心当たりがあるなら、この記事の続きよりも先に、主治医かフットケア外来です。

そして糖尿病がない人も、削らないほうがいいと編集部は考えています。理由はさきほどのイボの話です。何であるかが分からないものを削るのは、単純に分が悪い。痛みがある、芯がある、範囲が広い、繰り返しできる。どれかに当てはまるなら皮膚科へ行ってください。皮膚科の解説では、削る処置は保険適用になる場合があるとされています。

そしてもうひとつ、傷を作ってしまった場合の目安も同じ案内にあります。流水できれいに洗い流し、清潔なガーゼや絆創膏を貼って保護して、毎日よく観察する。そのうえで、「傷の周囲が赤くなったり、熱を持ったり、はれたり、うみが出たりしたら、すぐに医療機関を受診することが大切です」。削ったあとに限らず、覚えておいてほしい線です。

ドラッグストアの角質削りと、貼る薬について

この記事を読んでいる人の多くは、削るヤスリや、芯を柔らかくして取る貼り薬を買うかどうかで迷って来ていると思います。名指しで書いておきます。

公的な案内が危険だとしているのは、「自分で削ること」と「市販薬を使うこと」の両方です。片方だけではありません。

そのうえで、編集部として理由を3つ挙げます。ひとつめ、それが魚の目なのかイボなのかが、削る前には分からない。ふたつめ、薬は硬い角質と一緒に、まわりの健康な皮膚もやわらかくします。深く作用すれば、そこは傷になります。三つめ、これがいちばん大きいのですが、削っても、力のかかり方が変わらなければ同じ場所にまたできます。

つまり、削るのは結果だけを消して、原因を残すやり方です。だからこの記事は、削る話ではなく、場所を読む話をします。

できた場所から、靴を読む

ここからが、靴のサイトとしてできる話です。タコは、同じ場所に力がかかり続けた結果なので、場所が分かれば、力のかかり方の見当がつきます。

ひとつ、はっきりした出典があります。東京都の福祉情報サイト「福ナビ」の靴選びの解説です。足の前のほうが指の方向へ扇状に開き、横アーチが低下した状態を開張足というとされ、そのとき足裏の第2または第3中足骨の骨頭付近に胼胝(たこ)ができやすくなると書かれています。

中足骨の骨頭というのは、足の指の付け根のふくらみのことです。第2、第3ということは、人差し指と中指の付け根のあたりになります。同じ解説は、開張足や扁平足は外反母趾など足趾の変形や皮膚疾患をもたらす原因になりやすいともしていて、そのときは靴の中に横・縦のアーチ補正をすることが大切だと書いています。

ここからは編集部の見方です。解説が言っているのは「開張足だと、その場所にタコができやすい」という向きです。逆に「そこにタコがあるから開張足だ」とまでは書かれていません。ただ、指の付け根の真ん中あたりに繰り返しできているなら、横アーチを疑ってみる余地はあると考えています。そこは本来いちばん体重が乗る場所ではないからです。

ここからは編集部の見方です。ほかの場所については、出典のあるはっきりした対応表を見つけられませんでした。ただ、タコは押し付けか、こすれのどちらかで起きると考えると、見当のつけ方はあります。

足の裏にできるのは、体重が乗っている場所。指の上や側面にできるのは、靴の内側に当たっている場所。かかとにできるのは、着地か、かかとが浮いてこすれている場所。そう考えると、裏にできたなら中敷きや支えの問題、指の上や横にできたなら靴の形やサイズの問題、という当たりがつきます。

そして左右で違う場所にできているなら、そこは特に見てほしい。左右の足は形が違うのがふつうですが、片方だけに繰り返しできるなら、その足に合っていない何かがあります。

指の付け根にできる人へ:横アーチを支える中敷き

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人差し指と中指の付け根にできている場合。福ナビの解説では、開張足や扁平足のときは靴の中で横・縦のアーチを補正することが大切とされ、その方法として中底の必要な位置にパッドを取り付けるか、すでにアーチに合った補正のされた中敷きを入れると書かれています。

ここからは編集部の見方です。貼る位置を外すと、当たる場所が増えるだけになります。自分でパッドを貼るより、はじめからアーチの補正がされた中敷きを入れるほうが失敗が少ないと考えています。

そして中敷きを入れると靴の中の容積が減ります。いまの靴がぴったりなら、入れたとたんにきつくなる。きつくなれば、また別の場所にタコができます。中敷きの選び方そのものは別の記事に書きました。

こすれが原因のときに:足を守る靴下

意外に見落とされるのが靴下です。さきほどのフットケアの案内には、靴下の条件がはっきり書かれています。

素足を避けて靴下を履くこと。吸湿性の良い綿素材を選ぶこと。そして「内側の縫い目がゴツゴツしていない、きつすぎない物を選びましょう」。さらに「重ね履きは血行を妨げてしまうことがあるので避けましょう」、水虫予防のために5本指靴下もお勧めとあります。

糖尿病のある方に向けた案内ですが、縫い目が足に当たる、きつくて血行を妨げる、というのは誰の足にも起きることだと編集部は考えています。指の上や側面にタコができている人は、靴を疑う前に、靴下の縫い目がちょうどそこに来ていないかを確かめてみてください。

寒いからと靴下を重ねるのも、靴の中の容積を減らして圧迫を増やす方向に働きます。厚い靴下を履くなら、その前提で靴を選ぶ必要があります。

削る代わりにできること:保湿

削らないとなると、では何もできないのか。ひとつ、案内に書かれていることがあります。

フットケアの方法として、石けんをよく泡立てて柔らかいタオルやスポンジで優しく洗う、洗った後は皮膚を傷つけないよう、こすらずに押さえるようにして水気を拭き取る、そして「皮膚が乾燥している場合は保湿クリームを塗って保湿しましょう」とあります。

ただし、ひとつ重要な例外が書かれています。「ただし、指の間には保湿クリームはさけましょう。湿って水虫の原因になることがあります」。全体に塗ればいいというものではない、ということです。

選ぶなら、尿素の入ったクリームが扱いやすいと考えています。硬くなった角質をやわらかく保つ方向のもので、削り取る道具ではありません。棚には角質を削るヤスリやリムーバーも並んでいますが、この記事が勧めているのはそちらではない、というのは念のため書いておきます。

そして保湿は、できてしまったタコを消す方法ではありません。やわらかく保って、ひび割れを防ぐところまでだと編集部は考えています。原因である力のかかり方を変えないかぎり、同じ場所にまたできます。

靴そのものを見直すなら:公的な案内にある条件

最後に、靴の条件です。さきほどのフットケアの案内には、「自分の足に合った靴をはきましょう」として、具体的な条件が並んでいます。そのまま紹介します。

「つま先に1センチ程度の余裕があり、足の形に合った靴を選びましょう」。「革や内貼りが柔らかく、靴の内部に硬い縫い目のない靴を選びましょう」。「クッション性がよく、靴底が安定している靴を選びましょう」。「運動や散歩をする時は足首が固定されるよう、紐やマジックテープが付いた運動靴を履きましょう」。そして「神経障害がある方は靴の中に異物がないか、よく確認してから履きましょう」。

ここで注目したいのが、「靴の内部に硬い縫い目のない靴」という条件です。中で当たっているものがあれば、そこが硬くなる。指の上や側面にできている人には、まっすぐつながる話だと思います。手を靴の中に入れて、内側をひとまわり触ってみてください。縫い目、金具の裏、中敷きの段差。当たるものがあれば、それが場所を決めています。

糖尿病のある方向けの案内ですが、ここに並んでいる条件そのものは、足に余計な力をかけない靴の条件として読めると編集部は考えています。とくに足首が固定されること。足が靴の中で前に滑れば、指の付け根に体重が乗り続けます。タコのできる場所は、ここにも左右されると考えています。

ただ、案内が挙げているのは「紐やマジックテープが付いた運動靴」です。通勤に履くのはたいてい革靴なので、そのままは使えません。いまの一足でできることを3つ挙げておきます。

ひとつめ、紐を毎回締め直すこと。ゆるいまま足を入れて、そのまま一日履いている人は多い。かかとを靴の後ろに合わせてから、足首側をしっかり締めるだけで、前に滑る量が変わります。結び方そのものは別の記事に書きました。

ふたつめ、中敷きを入れるなら、容積の分だけ余裕がある靴に。いまの靴がぴったりなら、入れた時点できつくなります。三つめ、同じ靴を毎日履かないこと。同じ場所に同じ力がかかり続けるのが原因なら、履く靴を変えるだけで場所が分散します。

まとめ:削らずに、場所を読む

整理します。タコは面で厚くなるもの、魚の目は芯があるもの。そして魚の目はウイルス性のイボと見分けがつかないことがあるので、自分で判断しないでください。

公的な案内は「タコやウオノメを自分で削ったり、市販薬を使ったりすることは危険です」と書いています。痛みがある、芯がある、繰り返しできる。そのどれかなら皮膚科です。糖尿病のある方は、とくに自己処置をしないでください。

まず1つだけと言われたら、手を靴の中に入れて、内側を触ってみることです。お金がかからず、今日できて、しかも原因がそこにあることが少なくありません。硬い縫い目や段差が見つかれば、話はそこで半分終わります。

そのうえで、指の付け根にできているなら横アーチの支えを。こすれているなら靴下を。乾燥しているなら保湿を。そして削っても、原因を変えなければ同じ場所にまたできます。

足の裏は、自分では見えません。だからこそ、たまに鏡で見るか、家族に見てもらってください。そこには、靴が毎日書き残していった記録があります。

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この記事を書いた人

日常の靴選びから仕事に合わせた靴選びなど、さまざまな靴に関する情報をお届けしています。あなたの足元を彩る一足を見つけるお手伝いができれば幸いです。お気に入りの靴を見つけて、毎日の生活を足元から豊かにしてください。

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