マッケイとグッドイヤーは何が違う?セメント、ステッチダウンなど、靴メーカーが解説する6つの製法の特徴と選ぶ手がかり

革靴の商品説明でよく見る「マッケイ製法」「グッドイヤーウェルト製法」。靴の説明で見かける「ヴァルカナイズ製法」。名前は聞いたことがあっても、何が違うのか、自分の靴選びにどう関係するのかは、意外と分かりにくいですよね。

編集部は、製法の多くをアッパー(足の甲を包む部分)と底をどうやって1つにするかの違いとして整理しています。接着剤で貼る、糸で縫う、型に流し込む。そして、組み立てた靴を窯で加硫するヴァルカナイズ製法。解説を読むと、製法ごとに軽さや曲がりやすさ、履き心地などの特徴が挙げられています。

この記事では、靴メーカーのムーンスターが公開している「靴の製法」の解説6本から引用し、そこから先は編集部の見方として段落を分けて書きます。ムーンスターは靴を製造・販売している会社です。最後に出典をまとめました。

目次

接着剤で貼る。セメント製法

ムーンスターは、セメント製法を「アッパーとソールを接着剤で貼り合わせ、加圧密着させる製法」と説明しています。シンプルな構造で作業工程を短くできるため量産に向いていて、「靴の製法として幅広く採用されている製法」だそうです。

工程が単純なぶん、デザイン面での制約が少なく、自由度の高いデザインができる。そして「近年の素材や接着剤の進歩に伴い、他の製法と比較しても耐久性、軽量性ともに遜色ない靴の製造が可能となっています」とも書かれています。

ここからは編集部の見方です。「接着」と聞くと弱そうに感じるかもしれませんが、解説はそうは書いていません。製法の名前だけで、その靴の丈夫さを決めつけないほうがいいと考えています。

一度に縫う。マッケイ製法

マッケイ製法は、「アッパーとインソール、アウトソールを一度に縫い付ける、イタリアの伝統的な製法」です。アッパーを底に直接縫い付けるシンプルな構造なので、軽くてソールの返り(屈曲性)が良い靴に仕上がり、足を包み込むような柔らかい履き心地も特徴だと説明されています。

ここからは編集部の見方です。「返りが良い」は、歩くときに靴底が足の動きに合わせて曲がりやすい、ということです。軽さと曲がりやすさを重視するなら、商品説明でマッケイ製法と書かれた革靴は候補になると思います。

ウェルトを挟んで縫う。グッドイヤーウェルト製法

グッドイヤーウェルト製法は、「中底に貼り付けられたリブと呼ばれる突起部分に、アッパー、中底、ウェルト(細い帯状の革)を一緒に縫い付け、本底と縫合する製法」です。

ムーンスターは、「アッパーと中底が直接つながっていないこの製法では、アウトソールの交換が複数回可能なため、長年の使用に適しています」と書いています。また、中底に挟んだクッション性のあるコルク(中物)が履き込むほどに足裏の形にフィットしていき、構造的にも丈夫で安定感がある、とも説明しています。

ここからは編集部の見方です。6本の解説の中で、底の交換が複数回できると書かれているのは、グッドイヤーウェルト製法だけです。ほかの製法が交換できないとは書かれていませんが、長く履いて底を替えながら使いたいなら、まず確かめたい製法だと思います。グッドイヤーウェルト製法の靴についてはグッドイヤーウェルトの革靴の記事に、何回くらい直せるかの見方は靴の修理の記事に書きました。マッケイ製法の靴の修理も、そちらで触れています。

マッケイとグッドイヤーで迷ったら

ここからは編集部の見方です。2つの解説を並べると、違いはこう読めます。

  • マッケイ製法:軽くて返りが良く、「足を包み込むような柔らかい履き心地」
  • グッドイヤーウェルト製法:アウトソールの交換が複数回可能で、中底のコルクが「履き込むほどに足裏の形にフィット」していく。構造的に丈夫で安定感がある

軽さと柔らかさを優先するならマッケイ製法、底を替えながら長く履き、自分の足に馴染ませていきたいならグッドイヤーウェルト製法、というのが1つの目安だと考えています。どちらも、最後は履いてみて足に合うかで決めてください。商品説明に製法がはっきり書かれているかも確かめておくと安心です。

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外側に広げて縫う。ステッチダウン製法

ステッチダウン製法は、「アッパーを外側に吊りこみソールと縫い付ける、歴史の長い製法」です。アッパーを外側で縫い合わせるので、靴の中の空間にゆとりができる構造になり、締め付け感の少ないソフトな履き心地が特徴。屈曲性にも優れ、カジュアルな革靴の製法としてよく用いられるそうです。

ここからは編集部の見方です。締め付けの少なさを求めるなら、ステッチダウン製法のカジュアルな革靴を試してみる価値はあると思います。ただ、合うかどうかは足の形しだいなので、履いて確かめてください。

型に流し込む。インジェクション製法

インジェクション製法は、「底材を金型に注入し、ソール成型とアッパー接着を同時に行う製法」です。大がかりな設備が必要なため、国内でもごく僅かな工場でしか生産ができないそうです。

靴型(ラスト)の形を忠実に再現できるので、人の足の形に沿ったフィット感の良い製品に仕上がる。そしてアッパーとソールの接合部に隙間がなく密着性が高いため、底剥がれや型崩れしにくいのが特徴です。この製法で作られる製品の例として、上履きや介護用シューズ、レインブーツなどが挙げられています。

窯で熱を加える。ヴァルカナイズ製法

ヴァルカナイズ製法(加硫製法)は、「国内でもごく僅かな工場でしか生産することの出来ない」製法と紹介されています。組み立てた靴を加硫缶という大きな窯に入れ、一定時間の熱と圧力を加える。すると生ゴムと、中に練り込まれた硫黄が熱で化学反応を起こし、柔軟性と耐久性に優れた靴ができあがる、という仕組みです。

特徴は、ソールがしなやかで柔らかい、丈夫で壊れにくい、美しいシルエットが保てること。手仕事の工程が多く、熟練の技術が必要な製法だそうです。

ここからは編集部の見方です。ゴムの配合や靴底の素材の違いは靴底の素材の記事に、縫い方から生まれた靴の形はモカシンの記事にまとめています。

製法を、靴選びにどう使うか

ここからは編集部の見方です。解説で、それぞれの製法の特徴として目立つものを並べると、こうなります。

  • デザインの自由度と量産:セメント製法
  • 軽さと返りの良さ:マッケイ製法
  • 底の交換を重ねて長く履く:グッドイヤーウェルト製法
  • 締め付けの少なさ:ステッチダウン製法
  • 底剥がれや型崩れのしにくさ:インジェクション製法
  • しなやかな底と美しいシルエット:ヴァルカナイズ製法

ただし、屈曲性はステッチダウン製法の解説にも、しなやかなソールはヴァルカナイズ製法の解説にも出てきます。1つの特徴が1つの製法だけのもの、という意味ではありません。そして、これは1社の解説をもとにした整理です。同じ製法でも、使う素材や作り手で靴の性格は変わります。製法は「どの製法がいちばん良い」と比べるものではなく、自分が靴に何を求めるかから選ぶ手がかりだと考えています。商品説明に製法が書かれていたら、その製法が得意なことと、自分の使い方が合っているかを見てみてください。

まとめ:製法は、靴に何を求めるかから選ぶ手がかり

ムーンスターの解説によると、セメント製法は接着剤で貼り合わせて量産に向き、近年は他の製法と比較しても耐久性・軽量性ともに遜色ない靴の製造が可能。マッケイ製法は一度に縫い付けて軽く返りが良い。グッドイヤーウェルト製法はアウトソールの交換が複数回可能。ステッチダウン製法は外側で縫ってゆとりがある。インジェクション製法は型に流し込んで底剥がれや型崩れしにくい。ヴァルカナイズ製法は窯で加硫して、しなやかで丈夫です。

ここからは編集部の見方です。製法の名前を覚える必要はありません。軽さか、底を替えながら長く履くことか、締め付けの少なさか。自分が靴に求めることを1つ決めてから商品説明の製法を見ると、選ぶ手がかりになると思います。

出典

  • ムーンスター「靴の製法」(セメント製法/マッケイ製法/グッドイヤーウェルト製法/ステッチダウン製法/インジェクション製法/ヴァルカナイズ製法)※靴を製造・販売している会社の解説です

※各資料は2026年10月15日に確認しました。

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この記事を書いた人

日常の靴選びから仕事に合わせた靴選びなど、さまざまな靴に関する情報をお届けしています。あなたの足元を彩る一足を見つけるお手伝いができれば幸いです。お気に入りの靴を見つけて、毎日の生活を足元から豊かにしてください。

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