陥入爪と巻き爪は、厳密には別のもの。日本創傷外科学会が書く原因(合わない靴や深爪、先のとがった靴)と、爪の切り方

足の親指の爪の端が、歩くたびにちくっと痛む。爪が丸まってきて、切りにくい。靴を履くと親指のあたりが当たってつらい。そんなとき、「巻き爪かな」と思う人は多いと思います。

じつは、よく似た言葉の陥入爪(かんにゅうそう)と巻き爪は、厳密には別のものです。日本創傷外科学会は、陥入爪を爪の端が周囲の皮膚に食い込んで炎症を起こしている状態、巻き爪を爪の端が内側に巻いている爪の変形と説明しています。そして、どちらの原因にも靴や爪の圧迫が出てきます。

この記事では、日本創傷外科学会「陥入爪・巻き爪」と、MSDマニュアル家庭版「陥入爪」から引用し、そこから先は編集部の見方として段落を分けて書きます。赤みや腫れ、熱っぽさ、膿がある場合は、この記事を読むより先に医療機関で診てもらってください。最後に出典をまとめました。

目次

陥入爪と巻き爪の違い

日本創傷外科学会は、こう書いています。「陥入爪は、爪の端が周囲の皮膚に食い込んで炎症を起こしている状態です。一方、巻き爪(弯曲爪)は、爪の端が内側に巻いている爪の変形です」。2つは厳密には別の疾患ですが、巻き爪が陥入爪を起こす原因となる場合、あるいはその逆もあり、治療法や予防法にも共通する点がある、とあります。

  • 陥入爪:痛みや腫れが出て、さらに皮膚にできたキズが感染を起こし、化膿したり、不良肉芽ができたりする
  • 巻き爪:多くは足の親指に生じる。爪の下の骨に突出などの変形を伴っていることもある。歩行時や運動時に爪の先が圧迫されて指先が痛んだり、爪の下に血腫ができたりすることがある。一方で、爪が強く弯曲していても痛みが全くないこともあるが、弯曲が強く厚くなると爪切りが難しくなり、爪が突出すると靴や靴下を履くのが難しくなって、生活に支障が出ることがある

MSDマニュアルは陥入爪について、最初は無症状ですが、次第に痛むようになり、特に食い込んだ部分が圧迫されると痛みが激しくなる、と書いています。通常、患部は赤くなり、熱を帯びることもある。治療しないでいると感染が起きやすくなり、感染が起きると痛み、赤み、腫れがひどくなり、爪の横の皮膚の下に膿がたまることもあるそうです。

ここからは編集部の見方です。受診の目安として、編集部は次のように考えています。赤み・腫れ・熱っぽさ・膿のどれかがある、または痛みで歩くのがつらいなら、早めに皮膚科か形成外科へ。MSDマニュアルは、陥入爪は治療しないでいると感染が起きやすくなると書いています。赤みがあるか迷うときは、反対の足の親指と見比べたり、熱を持っていないか触ってみたりしてください。それ以外でも、痛みが続く、爪が切りにくいなら、一度相談してみてください。靴や爪切りで何とかしようとせず、まず診てもらうのが先です(出典に出てくる診療科は形成外科ですが、皮膚科でも相談できると編集部は考えています)。

原因として挙げられているもの

日本創傷外科学会は、陥入爪は足の親指に起こることが多く、「主な原因は、まちがった爪切りによる深爪や、合わない靴や圧迫の強い靴下などの着用による爪の圧迫とされています」と書いています。ほかに、幅の広い爪や巻き爪といった爪の変形、扁平足や外反母趾などの足の変形、足のむくみ、爪の水虫(爪白癬)が原因となることもあるそうです。

巻き爪については、「先のとがった靴などによって、爪が横方向から圧迫されることが主な原因とされています」。一方で、寝たきりや車椅子の人、足に麻痺がある人にもよく見られるそうです。足の指の爪は、本来、歩くときに下からの力を受けることでなだらかなアーチ形に保たれていて、この力が足りないと爪は丸まってしまうと考えられている。そのため、足の痛みや変形(タコ、ウオノメ、扁平足、外反母趾など)や爪の病気(爪白癬、陥入爪など)で、足の指を地面につけずに歩く「浮き指」の状態になっていると巻き爪を起こしてしまう、と説明しています。

MSDマニュアルは、足に合わない窮屈な靴を履くことや、爪を水平に切らずに角を丸くカーブして切ることで、陥入爪が発症したり悪化したりする、と書いています。

ここからは編集部の見方です。靴の側から見ると、出典に出てくるのは「合わない靴」「先のとがった靴」「窮屈な靴」、それに「圧迫の強い靴下」です。巻き爪では、横から押されることだけでなく、歩くときに指で地面を押せていないことも原因として挙げられているのが、ほかとは違う点だと思います。

爪の切り方。2つの出典の書き方

日本創傷外科学会は、陥入爪の予防として、爪の長さは指先と同じくらいにそろえ、全体の形は角に少し丸みのある四角形に整える(スクエアオフカット)ことを勧めています。手順は次のとおりです。

  1. 指先と同じくらいの長さで、爪の上部を一直線に切る
  2. 爪先のカーブに合わせて、爪ヤスリで角を丸く削る

MSDマニュアルは、「足の爪はまっすぐに切ります。隅の方を短くしてカーブさせるように切ってはいけません」と書いています。

巻き爪については、日本創傷外科学会が変形し、厚みのある爪のケアには、ニッパーやヤスリの使用が便利だとしています。爪の先が引っかからないようにこまめに切ることが勧められる一方で、深爪や爪の切り残し(爪棘)を避け、周りの皮膚を傷つけないよう注意が必要。そして爪切りが難しい場合には、無理をせず医療機関に相談するように、とあります。

ここからは編集部の見方です。一見、MSDマニュアルは「角を丸くカーブして切る」のを避けるように、日本創傷外科学会は「角を丸く削る」ように、と逆のことを言っているように読めます。ただ、MSDマニュアルが避けるようにしているのは隅の方を短くしてカーブさせるように切ることで、日本創傷外科学会はまっすぐ切ったあと、ヤスリで角を少し整える手順です。どちらも陥入爪の予防として、まず一直線に切り、隅を短く切り込まないという点は同じだと読んでいます。はさみや爪切りで角を斜めに切り落とすのとは違う点に気をつけたいところです。

赤みや腫れがない人が、ふだんの爪切りを見直すなら、日本創傷外科学会が厚い爪に便利だとしているニッパーとヤスリがあると扱いやすいと思います。ただし、食い込んでいる角を自分で切り取ったり、すき間に何かを詰めたりはしないでください。それは医療機関で行う処置です。

靴と歩き方で予防する(陥入爪と巻き爪の予防法)

日本創傷外科学会は、予防法として次のことを挙げています。

  • 圧迫を避ける:フットウェアの選択や調整をして、爪が強く圧迫されないようにする(陥入爪・巻き爪とも)
  • フットケア:皮膚のキズや感染を防ぐために、衛生的にきちんと洗い、保湿を心がける(陥入爪)
  • 正しい歩行:足の指に適度な力が伝わるように歩く。足の形に合った靴を選び、インソールなどで足の骨格の歪みやバランスを調整することも予防につながる(巻き爪)
  • 正しい歩行を妨げる原因となる病気の治療:足の痛みや変形、爪の変形の原因となる病気の治療を行い、原因を取り除く(巻き爪)

ここからは編集部の見方です。通勤の革靴が先のとがった形なら、つま先に丸みと高さのある形の靴を候補にしてみてください。靴を見直すなら、つま先が親指を横から押さない形か、かかとと甲で足が止まり、歩くたびに足が前に滑って指先が当たらないかを確かめるといいと思います。小指側が当たる場合のつま先の形の違いはつま先の形の記事に、幅の測り方はJISのワイズの記事にまとめています。外反母趾がある人は外反母趾の記事も、爪の水虫が気になる人は水虫と靴の記事も参考にしてください。

治療は、保護と矯正と手術

日本創傷外科学会によると、陥入爪の治療には保存的治療と手術があり、保存的治療には、爪の端と皮膚が接する部分を守る「保護法」(肉芽除去、爪の部分切除、テーピング、コットンを詰める方法、チューブを使う方法など)と、矯正具で爪の弯曲を平らにする「爪矯正法」(ワイヤー、クリップ、プレートなど)があります。短期間での治療を希望する場合や、保存的治療が効かない・再発を繰り返す場合には、形成外科で手術を行う。手術にはさまざまな方法があり、最近広く行われているフェノール法は、指の局所麻酔による日帰り手術で、手術直後から歩行できるそうです。

巻き爪については、「巻き爪の治療は保存的治療が基本です。痛みがなく、生活に支障がなければ、必ずしも治療をする必要はありませんが、爪切りには注意が必要です」とあります。ただし矯正は、装着中あるいは治療した部分の爪にしか効果がなく、新たに生えてくる爪では再発することが多いのが問題だ、とも書かれています。手術は症状が短期間で治るのが利点ですが、新しい爪が生えそろって結果が出るまで少なくとも半年はかかるそうです。使う材料によっては保険適用外の治療になることがあるので、担当医に聞くように、ともあります。

ここからは編集部の見方です。矯正の器具は医療機関で使われるものとして紹介されているので、この記事では市販の矯正グッズは扱いません。痛みがある、爪が切りにくい、という段階で、皮膚科や形成外科で相談してみてください。

まとめ:赤みや腫れがあれば受診。なければ切り方と靴から

日本創傷外科学会によると、陥入爪は爪の端が皮膚に食い込んで炎症を起こした状態、巻き爪は爪の端が内側に巻いた変形で、厳密には別のものです。陥入爪の主な原因はまちがった爪切りによる深爪や、合わない靴や圧迫の強い靴下による圧迫、巻き爪の主な原因は先のとがった靴などによる横からの圧迫とされ、浮き指も巻き爪を起こすと説明されています。MSDマニュアルは、窮屈な靴や、角を丸くカーブさせる切り方で陥入爪が発症・悪化するとしています。日本創傷外科学会は、陥入爪・巻き爪とも予防に圧迫を避けることを挙げ、陥入爪の予防として指先と同じ長さに一直線に切って角をヤスリで少し丸める切り方を、巻き爪の予防として足の形に合った靴と正しい歩き方を挙げています。MSDマニュアルは、足の爪はまっすぐに切り、隅の方を短くカーブさせないように、としています。

ここからは編集部の見方です。赤み・腫れ・熱っぽさ・膿のどれか、または歩くのがつらい痛みがあるなら、まず受診。そうでなければ、次に爪を切るときの切り方と、親指を横から押さない靴から見直してみてください。

出典

※各資料は2026年10月19日に確認しました。

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日常の靴選びから仕事に合わせた靴選びなど、さまざまな靴に関する情報をお届けしています。あなたの足元を彩る一足を見つけるお手伝いができれば幸いです。お気に入りの靴を見つけて、毎日の生活を足元から豊かにしてください。

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