靴下用カイロは、靴を脱いだら外す。東京都の2003〜04年のテストでは、貼ったまま靴を脱ぐと皮膚が43℃を超えることがあった

朝の駅のホーム、底冷えのするオフィス。足先が冷たいとき、靴用カイロや靴下に貼るカイロは心強い味方ですよね。でも、職場で靴を脱いでスリッパに履き替えたとき、カイロを貼ったままにしていないでしょうか。

東京都消費生活総合センターは、市販の靴用・靴下用カイロを実際に使ってテストしています。その結果、使用上の注意を守って使った場合は、皮膚の温度が43℃にまで至ることは少なかった一方で、靴下用カイロを貼ったまま靴を脱ぐと、皮膚の温度が43℃を超えることが、テストした全ての銘柄であったそうです(毎回ではなく、約1割の回数)。43℃は、このテストで「長時間これ以上にすると低温やけどを引き起こす目安」とした温度です。

この記事では、東京都消費生活総合センターのテスト報告書から引用し、そこから先は編集部の見方として段落を分けて書きます。テストは2003年12月から2004年3月に、当時の市販品で行われたものです。最後に出典をまとめました。

目次

なぜテストしたのか

報告書によると、靴用・靴下用カイロに関する相談は、平成6〜15年度の10年間で全国の消費者センターに14件寄せられていて、やけど(低温やけどを含む)で重篤な事態に陥った事例も報告されていました。そこで、実際の使用状況で皮膚の温度などを調べた、とあります。

低温やけどについて、報告書は「体温より高い温度のものを、長時間体にあてているときに起こすやけど」と説明し、個人差もありますが、皮膚の温度を長時間42〜44℃以上にすると発症することがあるといわれている、と書いています。予備テストで43℃以上にすると違和感が残る人がいたため、このテストでは43℃を目安にしました。

テストしたのは、靴用カイロ4銘柄と靴下用カイロ4銘柄(当時のシェアで約87%)。靴は革靴、ブーツ、スポーツシューズ、サンダルの4種類で、被験者10人のうち各条件3人が、オフィスワークを想定して使っています。なお、テストした靴用・靴下用カイロは、いずれもJISの規格外品でした。これは粗悪品という意味ではなく、報告書によるとJISは靴用・靴下用カイロが世の中に広まる前に制定されたもので、ほかに適当な規格がないため、腰に貼るカイロなどのJISでもテストした、ということです。

使用上の注意を守って靴の中で使えば、43℃に至ることは少なかった

まとめの項には、「靴用・靴下用カイロは、靴の中で足を暖める効果があることが確認できた」とあります。そして使用上の注意を守って使った場合は、皮膚の温度が43℃にまで至ることは少なかったことから、「使用上の注意を守って使用すれば低温やけどを被る可能性は低いと考えられる」としています。

ただし続けて、実際の使用時には外気温などの要因が加わること、やけどや低温やけどの事例が実際に報告されていることから、使用上の注意をよく守るだけでなく、使用中は皮膚の状態などに注意を払う必要がある、と書いています。

靴の種類別に見ると、靴用カイロでは革靴、ブーツ、サンダルで皮膚の温度が43℃を超えることがありました(スポーツシューズでは0回)。銘柄別では、靴の中で使っていても、ある銘柄は54回中9回、43℃を超えています。また、サンダルでは温度が高めになる傾向が見られ、報告書はサンダルではカイロが外気(酸素)に直接ふれるため、発熱効果が高くなる場合があると考えられる、としています。カイロの銘柄によって最高温度に違いが見られたので、銘柄を変えたときは注意を払う必要がある、とも書かれています。

靴を脱ぐと、カイロの温度が上がる

靴を脱ぐ前と後とで、大きな差が見られました。

靴下用カイロを使っている途中で靴を脱ぎ、靴下に貼ったまま(靴下だけの状態で)10分間測ったところ、靴を脱ぐ前よりも温度が高くなり、皮膚の温度は全ての銘柄で43℃を超えたそうです。サンダル以外の3種類の靴で脱いだテストでは、216回中21回、約1割でした。中には、安全のためテストを中止した時点で46℃に達したものもありました。

理由について報告書は、靴の中はカイロの酸化反応で酸欠状態になりがちなのに対し、靴の外は酸素濃度が高いので、発熱が促進されるためと考えられる、と説明しています。また、持続時間の考察の中では、靴用・靴下用カイロは靴の中という比較的酸素の少ない状態でも発熱するように調整されている、とも書かれています。

また、JISなどに基づいたテストでは、靴用・靴下用カイロは腰に貼るカイロなど(JIS規格では最高温度70℃以下)よりも高温(最高温度80℃)になる場合があることが確認されました。これらから報告書は、靴を脱いだ状態での使用は避ける必要があるとしています。

靴の中に置いたままのカイロにも注意

靴用カイロを使っている途中で靴を脱ぎ、靴の中にカイロだけを入れたまま置いておいた場合、靴を脱いでから10分間のうちに、カイロ単体の温度が86℃に達することがあったそうです(最も高かった銘柄の最高値。平均は銘柄により54〜69℃)。

そのまま10分置いてから靴を履き直すテスト(被験者1人、各銘柄1回の小さなテスト)では、履く直前のカイロが50℃台だったときは、皮膚の温度は43℃に至りませんでした。一方、66.1℃だったときは、履いて1分後に皮膚が44℃に達し、さらに上がり続けたため、テストを中止しています。報告書は、靴を脱いだときは再び靴を履く前にカイロの温度に注意を払う必要がある、としています。

報告書の「消費者へのアドバイス」

報告書は、消費者へのアドバイスとして次のように書いています。

  • 靴用・靴下用カイロは腰に貼るカイロなどとは異なる商品。使用上の注意を守らないと、腰に貼るカイロなどより温度が高くなることがある。特に、靴を脱いだ後も靴下に貼り付けたまま使用すること、サンダルで使用すること、腰に貼るカイロなどの代用として使用することはしない
  • 使用中に違和感(熱すぎるなど)を感じたときは、すぐに使用を中止する
  • 外袋を開封するとすぐに温度が高くなるので、使用直前に開封する。カイロを靴の中にしばらく放置した後で靴を履く場合は、温度が高くなっていることがあるので注意する
  • 低温やけどは見た目よりも重症の場合が多いので、早めに専門医の診察を受ける。血行障害のある人、皮膚感覚の低下している人などは、使用前に医師に相談するなど特に注意する

今の使い方に置き換えると

ここからは編集部の見方です。テストは20年以上前の製品で行われたもので、今の製品の温度や表示は変わっているかもしれません。それでも、靴の中で使うように作られているという仕組みと、靴を脱ぐと温度が上がりうるという結果は、使い方を考えるうえで参考になると思います。日々の場面に置き換えると、こうなります。

  • 職場でスリッパやサンダルに履き替えるときは、靴下に貼ったカイロも一緒にはがす。報告書のテストでの「靴を脱いだ状態」は靴下だけの状態ですが、報告書はサンダルでの使用もしないように、としています
  • 靴用カイロを職場で使った場合は、履き替えるときに靴の中から取り出す。デスクの下の靴に入れっぱなしにして、昼に履き直さない
  • はがしたり取り出したりしたカイロは、まだ熱を持っていることがあります。袋の表示に従って処分し、肌や燃えやすいものの上に置きっぱなしにしない
  • 家に帰って靴を脱いだら、靴の中のカイロも取り出す。翌日まで靴の中に入れっぱなしにしない
  • お座敷の飲食店など、途中で靴を脱ぐ予定がある日は、最初から使わないか、脱ぐ前にはがす
  • サンダルやつっかけでは使わない。履き替えたあとの足先の冷えは、厚手の靴下や、つま先の覆われた室内履きで補う
  • 銘柄を替えたときは、最初の何回かは熱さに気をつけておく
  • 買った製品の使用上の注意を、袋の裏で一度読んでおく

通勤のあいだだけ使って、職場ではがすなら、使う時間は短くなります。それでも、靴を脱ぐ場面がある日は、外すことを優先してください。使うなら、靴の中に入れるタイプか、靴下に貼るタイプかを確かめて、袋の表示どおりの場所で使ってください。選ぶときは、袋の使用上の注意(サンダルや靴を脱いだときの扱い)が分かりやすく書かれているものを。

カイロに頼る前に、足先が冷える原因が靴そのものにあることもあります。靴下を重ねても冷たいときの考え方は足先が冷たいのは靴のせいかもしれない、という記事に、冬の靴の中の蒸れは秋冬の蒸れの記事に、雪の日の靴選びは雪と凍結の日の記事にまとめています。

まとめ:靴を脱ぐときは、カイロも外す

東京都消費生活総合センターの2003〜04年のテストでは、靴用・靴下用カイロを使用上の注意を守って靴の中で使った場合、皮膚の温度が43℃(このテストで低温やけどの目安とした温度)に至ることは少なく、報告書は低温やけどの可能性は低いと考えられるとしています。ただし、使用中は皮膚の状態に注意が必要です。一方、靴下用カイロを貼ったまま靴を脱ぐと、全ての銘柄で皮膚が43℃を超えることがあり(約1割の回数)、靴を脱いで靴の中に置いたままの靴用カイロは、10分のうちに86℃に達することがありました。

ここからは編集部の見方です。20年以上前の製品のテストですが、覚えておきたいのは1つだけ。靴を脱ぐときは、カイロも外す。熱いと感じたらすぐにやめて、血行の悪い人や感覚が鈍くなっている人は、使う前にかかりつけの医師に相談してください。

出典

※資料は2026年10月16日に確認しました。

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この記事を書いた人

日常の靴選びから仕事に合わせた靴選びなど、さまざまな靴に関する情報をお届けしています。あなたの足元を彩る一足を見つけるお手伝いができれば幸いです。お気に入りの靴を見つけて、毎日の生活を足元から豊かにしてください。

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