糖尿病がある人の靴は、つま先に1cm程余裕がある、足に合った靴を。履く前に中も確かめる。国立国際医療研究センターの「糖尿病フットケアノート」から

糖尿病があると、足を大切に、とよく言われます。でも、靴について具体的に何に気をつければいいのか、意外と知らない人も多いのではないでしょうか。

国立国際医療研究センター 糖尿病情報センターが公開している「糖尿病フットケアノート」には、足を守るポイントの1つとして、つま先に1cm程余裕がある足に合った靴を選ぶこと、そして靴の中に異物がないか、先に確認してから履くことが書かれています。

この記事では、このフットケアノートから引用し、そこから先は編集部の見方として段落を分けて書きます。ノートは、医療機関のフットケア外来を受診するときに持っていくパンフレットとして作られたもので、ここで紹介するポイントも、フットケア外来で看護師と足の状態を確かめながら使う内容です。足のことは、必ず主治医やフットケア外来に相談してください。最後に出典をまとめました。

目次

なぜ足を守るのか

ノートは冒頭で、「糖尿病のある方は、足の障害を引き起こしやすいです」と書いています。そして、足を守るためには日々のお手入れ(ケア)がカギになる、としています。

ノートの図は、糖尿病で血糖コントロールができていないと何が起きるかを、次のように示しています。

  • 神経障害がおきる:痛みを感じにくいため、ケガ・やけどなどの発見が遅れる
  • 抵抗力が低下する:傷口が化膿しやすく、傷の治りも遅くなる
  • 血流障害がおきる:足先への血液の流れが悪くなり、細胞に必要な栄養や酸素が届かなくなり、傷が悪化する

図では、3つの横に「ケガの発見の遅れ」「感染」「潰瘍」「壊疽」が並び、そこから「切断」へ向かう矢印が描かれています。

ここからは編集部の見方です。ノートの図には、血糖コントロールができていない状態で神経障害がおきると、痛みを感じにくくなり、ケガの発見が遅れる、とあります。靴の話がこのノートで大切に扱われているのは、痛みを感じにくいと、靴ずれや小石によるケガに気づきにくいからだと読んでいます。ふつうなら「痛いから脱ぐ」ところで、気づかずに歩き続けてしまうかもしれない。だから、痛みに頼らずに確かめる習慣が大事になるのだと思います。

ノートが挙げる「足を守るポイント」

ノートは、看護師と足の状態を確認したあとのページで、足を守るポイントを6つ挙げています。

  1. 毎日よく足を観察する。見えないところは鏡を使ったり、家族に協力をお願いしたりする
  2. 足はきれいに洗い、水分をよく拭き取る。指の間もよく洗う。乾燥している場合はクリームで保湿する(指の間に保湿クリームは塗らない)
  3. 爪は切り過ぎない。深爪に注意し、爪の角は深く切りこまない
  4. 自分の足に合った靴をはく。靴ずれに注意する。つま先に1cm程余裕がある、足に合った靴を選ぶ。靴の中に異物がないか、先に確認してから履く
  5. 素足を避け、靴下を履いて、傷から足を守る。5本指靴下もお勧め
  6. やけどに注意する。カイロや湯たんぽなどによる低温やけどに注意し、使う場合は厚手のタオルで包み、細心の注意をはらう

そして、「日々のお手入れは、薬の治療と同じくらいの効果があります」と書いています。ノートの結びには、「足を守るために、血糖コントロールとともにフットケアで習得したお手入れ方法を続けることが大切です」ともあります。お手入れは、血糖コントロールの代わりではありません。

靴について、ノートに書かれていること

ノートの中で靴が出てくるのは、上のポイントだけではありません。看護師と一緒に確かめる項目として、「靴が足に合っているか、(圧迫感がない1㎝ほどつま先に余裕がある)か確認する」、「靴を履く前に、靴の中に異物がないか確認する」が挙げられています。看護師がチェックを入れる項目として、「足の変形( )があるので、靴や、中敷きの専門的な調整を考える。」ともあります。

巻末の「靴について」のページには、次の3つがまとめられています。

  1. 足にやさしい靴を選ぶ
  2. 靴下をはく(傷予防)
  3. はく前に中をチェック(小石など入っていませんか)

また、ノートのセルフケアの質問票には、足の変形(外反母趾、偏平足、甲高足など)があるか、靴ずれを起こしたことがあるか、靴を履く時間は1日に何時間くらいか、靴の変形があるか、そして靴の中のチェックを1週間に何日行ったか、といった項目が並んでいます。

水虫の薬の使い方のページでは、水虫(カビの一種)は高温多湿な環境(特に靴の中)を好むとし、毎日きれいな靴下に履き替えること、靴も毎日同じものは履かないようにする(何足かをローテーションする)ことも書かれています。

毎日の習慣に置き換えると

ここからは編集部の見方です。ノートの言葉を、靴まわりの毎日の動きに置き換えると、こうなります。

  • 履く前:靴を逆さにして軽く振り、手を入れて中に小石や縫い目のほつれがないか確かめる。中敷きがめくれていないかも見る
  • 買うとき:靴下を履いた状態で試し、つま先に1cmほどの余裕があって、どこかが強く当たらないかを確かめる。痛みを感じにくい人は、履いた感覚だけに頼らず、まず受診のときに今の靴を持っていって看護師や主治医に見てもらう。そのうえで店の人にも相談する
  • 毎日、足を見る:ノートは、確認のタイミングの例として入浴時、朝の靴下を履く時、夜を挙げています。靴を脱いだあとに見るのも1つの方法です。赤くなっているところや靴ずれ、水ぶくれがないか確かめ、見えない足の裏や指の間は鏡を使うか、家族に見てもらう
  • 家の中:素足を避けて靴下を履く
  • 冬:カイロや湯たんぽは低温やけどに注意する。ノートは、使う場合は厚手のタオルで包み、細心の注意をはらうように、としています。靴用のカイロを使うかどうかも主治医に相談する

靴のサイズの合わせ方はJISのワイズの記事に、合う靴を一緒に探してくれる専門家への相談はシューフィッターの記事に、靴の中の水虫対策は水虫と靴の記事にまとめています。足の変形がある人は外反母趾の記事も参考にしてください。ただし、どの記事も糖尿病のある人向けに書いたものではありません。

しびれや傷があれば、主治医に伝え、早めに受診

ノートは、傷ができた、タコが痛い、皮膚がむけた、皮膚の色が赤いという「こんな時はどうしますか?」の場面について、傷はすぐに流水で洗い、絆創膏やガーゼで保護して、早めに皮膚科・形成外科を受診しましょう、と書いています。傷が膿んで、赤くなったり、熱をもったりしたら、すぐに受診しましょう、ともあります。

ノートのステップ4には「今後、足にトラブルが起きたら早めに受診をしてください」、結びには「足に問題があったり、お手入れ方法に支障がある場合は、医師かフットケア担当にご相談ください」ともあります。

また、ノートではしびれや感覚の低下、違和感は、看護師が足を確認するときの「神経障害の自覚症状」のチェック項目になっていて、アキレス腱反射や振動覚検査などの簡単な神経検査の欄も並んでいます。

ここからは編集部の見方です。足先のしびれが気になる人は、次の診察で主治医に伝え、足の検査やフットケア外来について聞いてみてください。タコやウオノメを自分で削る、靴ずれを放っておく、といったことは避けて、気になるところがあれば主治医やフットケア外来に相談してください。靴や中敷きの調整が必要かどうかも、そこで相談できます。

まとめ:足に合った靴、履く前に中を見る、毎日足を見る

国立国際医療研究センター 糖尿病情報センターの「糖尿病フットケアノート」(2023年12月改訂)は、糖尿病のある方は足の障害を引き起こしやすいとし、足を守るポイントとして、毎日の観察、洗って拭くこと、深爪をしないことに加えて、つま先に1cm程余裕がある足に合った靴を選び、靴の中に異物がないか先に確認してから履くこと、素足を避けて靴下を履くこと、カイロや湯たんぽによる低温やけどに注意することを挙げています。看護師と確認する項目として、足に変形がある場合の靴や中敷きの専門的な調整も挙げています。そして、血糖コントロールとともにお手入れを続けることが大切だ、としています。

ここからは編集部の見方です。痛みに頼らず、目で確かめる。履く前に靴の中を、毎日足を。この2つを習慣にして、しびれなど気になることは主治医やフットケア外来に伝えてください。

出典

※各資料は2026年10月22日に確認しました。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

日常の靴選びから仕事に合わせた靴選びなど、さまざまな靴に関する情報をお届けしています。あなたの足元を彩る一足を見つけるお手伝いができれば幸いです。お気に入りの靴を見つけて、毎日の生活を足元から豊かにしてください。

コメント

コメントする

コメントは日本語で入力してください。(スパム対策)

CAPTCHA

目次