夏のサンダル、雨の日の長靴。子どもが好きな履き物で、そのままショッピングモールのエスカレーターに乗ることはよくありますよね。ステップの端に立ったまま、足を側面に寄せていないでしょうか。
東京消防庁は、ビニール樹脂製のサンダルやゴム製の長靴などは、摩擦によりエスカレーターのスカートガード(側面)とステップとのすき間に巻き込まれやすいとして、保護者は子どもを必ず黄色い線の内側に立たせるようにと呼びかけています。
この記事では、東京消防庁、製品評価技術基盤機構(NITE)、京都府消費生活安全センターのメールマガジンが紹介する国民生活センターの情報から引用し、そこから先は編集部の見方として段落を分けて書きます。データの年は資料ごとに違うので、それぞれに書き添えます。最後に出典をまとめました。
東京消防庁管内では、はさまれ事故で5年間に21人の乳幼児が搬送
東京消防庁によると、管内(稲城市と島しょ部を除く東京都内)では、平成28年から令和2年までの5年間(令和2年は暫定値)に、エスカレーターで起きたはさまれ事故により、21人の乳幼児(0歳〜5歳)が救急搬送されています。
- 月別では8月が6人で最も多い
- 年齢別では3歳と5歳が6人ずつ
- 初診時の程度は81.0%が軽症、入院が必要な中等症も19.0%
- 発生場所は、スーパーやショッピングモールなどの「店舗・遊技施設等」が66.7%、駅などの「道路・交通施設」が28.6%
ただし、はさまれた部位でいちばん多いのは、靴ではありません。「不明」を除くと、手すりの引き込み口(インレットガード)に手指をはさまれたものが最も多く、4人です。はさまれた位置で見ても、手すりの引き込み口が33.3%で、「不明」を除いて最も多くなっています。
ここからは編集部の見方です。このデータから、「エスカレーターの事故の多くは靴」とは言えません。この記事では靴の話をしますが、手すりの引き込み口に手を入れないことも同じくらい大切だと考えています。
サンダルや長靴が巻き込まれた例
東京消防庁は、過去の事例として次のものを挙げています。
- ステップと側面のスカートガードの間にサンダルがはさまれた事例:エスカレーターに乗り下っている時にサンダルがはさまってしまい、手で取ろうとした際に受傷した(4歳、軽症)
京都府消費生活安全センターのメールマガジン(第526号、URLから見て平成28年=2016年の発行)は、国民生活センターの「子どもサポート情報」第111号の内容として、次の事例を紹介しています。下りのエスカレーターから降りるとき、右足の長靴がエスカレーターに巻き込まれ、前のめりに倒れた。そのときは歩けるようで心配ないと帰宅したが、後日整形外科を受診したところ、骨折と診断された。同じ号の「ひとことアドバイス」では、保護者が手をつないで乗ること、靴やサンダルなどがエスカレーターに挟まれないよう、ステップの黄色い線の内側に立つこと、エスカレーターへのベビーカーの乗り入れは避けることを挙げています。
ここからは編集部の見方です。長靴の事例では、その場では歩けていたのに、あとで骨折と分かっています。巻き込まれたあとは、子どもが平気そうでも、痛がる様子が続くなら受診するほうがいいと思います。
なぜ樹脂のサンダルが巻き込まれるのか。NITEの調査
少し古い資料ですが、NITE(製品評価技術基盤機構)は2007年(平成19年)9月に、サンダルの巻き込まれ事故について注意を呼びかけています。サンダルを履いた子どもが上りエスカレーターのステップ部分にサンダルを巻き込まれ、足の指を骨折するなどの事故が同年8月28日に発生し、8月末から9月初めにかけて、同様の巻き込み事故が39件報告された。そのうち6件が足の指に軽傷を負った事故だそうです。
NITEの特記ニュースによると、事故はエスカレーターの乗り方、サンダルの材質などが相互に影響し、巻き込まれたものでした。
- サンダルの材質:使われている材料は、「滑りにくい」「軟らかい」「伸びやすい」性質を併せ持つ
- 乗り方:ステップの端の黄色い線を踏み、樹脂製サンダルの甲の部分をスカートガード(または踏段のライザー)へ押しつけるように接触させていた
- 保守の状態:サンダルなどが触れたときに滑りやすくするシリコンオイルなどが塗られていなかった
そのうえでNITEは、「事故はエスカレーターに正しく乗れば防げます」とし、注意表示に従って正しく乗り降りすること、子どもが使うときは特に注意することを呼びかけています。
ここからは編集部の見方です。NITEの調査は、2007年当時の樹脂製サンダルと、当時のエスカレーターの保守状態についてのもので、長靴は対象ではありません。今のサンダルやエスカレーターでどうかは、この資料からは分かりません。それでも、「滑りにくくて軟らかい素材が側面に押しつけられる」というしくみは、東京消防庁が今も「ビニール樹脂製のサンダルやゴム製の長靴」を挙げている理由を考えるうえで参考になると思います。
乗るときに守ること
東京消防庁は、エスカレーターを使うときの注意として、次のことを挙げています。
- 移動手すりには必ずつかまる
- 必ず黄色い線の内側に立つ
- 歩いたり走ったりしない
- 顔や手を乗り出したりしない
- エスカレーターの側面には、絶対によりかからない
- 衣類のすそに注意する
あわせて、エスカレーターの周りで遊んでいて手すりの引き込み口に指をはさまれる事故も起きているので、小さな子どもから目を離さず、エスカレーター周辺では遊ばせないように、としています。 京都府のメールマガジンのアドバイスにも、保護者が手をつないで乗ること、ベビーカーの乗り入れを避けることが挙げられています。
はさまったら、手で引き抜かない(編集部の見方)
ここからは編集部の見方です。東京消防庁の事例では、はさまったサンダルを手で取ろうとしてけがをしています。靴がはさまったとき、とっさに手を伸ばしたくなりますが、手まで巻き込まれるおそれがあります。まず周りの人に知らせて、エスカレーターの非常停止ボタンで止めてもらう、子どもにははさまった靴を自分で引っぱらないと伝えておくのがいいと思います。非常停止ボタンの位置は、乗る前に一度見ておくと安心です。
子どもの靴の側でできること
ここからは編集部の見方です。出典は、どれも乗り方で防ぐことを呼びかけていて、「この靴なら巻き込まれない」とは書いていません。ですから、靴を替えれば安全、とは言えません。そのうえで、日常の中でできることを挙げるなら、こうなります。
- どの靴の日も黄色い線の内側。サンダルや長靴の日は、とくに意識して手をつないで乗る。子どもが手すりに届かないときは、保護者が手すりをつかみ、もう一方の手で子どもと手をつなぐ。子ども2人に大人1人なら、エレベーターを使うのも手です
- ベビーカーのときは、エスカレーターではなくエレベーターを使う
- ほどけた靴ひもも、すき間に入らないよう結び直してから乗る
子どもの靴のサイズの確かめ方は子どもの靴のサイズの記事に、歩き始めの靴はファーストシューズの記事に、長靴の手入れは長靴の記事にまとめています。
まとめ:サンダルと長靴の日は、黄色い線の内側で手をつなぐ
東京消防庁によると、管内では平成28年から令和2年までの5年間に、エスカレーターのはさまれ事故で21人の乳幼児が救急搬送されました。はさまれた部位で最も多いのは手すりの引き込み口に手指(「不明」を除く)ですが、ビニール樹脂製のサンダルやゴム製の長靴などは、摩擦によりスカートガードとステップのすき間に巻き込まれやすいとして、子どもを必ず黄色い線の内側に立たせるよう呼びかけています。2007年のNITEの調査では、樹脂製サンダルの材質(滑りにくい・軟らかい・伸びやすい)、黄色い線を踏んで甲を側面に押しつけるような乗り方、潤滑剤が塗られていないという保守の状態が、相互に影響していました。
ここからは編集部の見方です。サンダルと長靴の日は、黄色い線の内側で、手をつないで乗る。はさまったら手で引き抜かず、止めてもらう。この2つを、出かける前に子どもと確かめておいてください。
出典
- 東京消防庁「エスカレーターで起きる乳幼児のはさまれ事故に注意!」(データは平成28年〜令和2年、令和2年は暫定値)
- 製品評価技術基盤機構(NITE)「サンダルのエスカレーターへの巻き込まれ事故に係る注意喚起について」(平成19年9月6日)、同特記ニュース「サンダルの巻き込まれ事故」
- 京都府ホームページ「3月3日第526号」(「エスカレーターでの転倒に気をつけて 国民生活センター・子どもサポート情報第111号より」)
※国民生活センターの元のページは公開が終わっていたため、京都府の紹介ページを出典にしています。各資料は2026年10月21日に確認しました。














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