ローファーはもともと、ノルウェーの漁師の靴だった。名前の由来まで語れる4足

スニーカー以外の靴を一足持っておきたい。そう思ってローファーを見に行ったものの、種類の多さと値段の幅に圧倒されて帰ってきた、という経験はないでしょうか。

ローファーは、たどると意外な場所に行き着きます。ノルウェー西部のアウルランドという小さな村です。ニルス・トゥベランゲルという靴職人が、地元の漁師が履いていたスリッポンと、少年期に渡ったアメリカで見たモカシンの縫い方を組み合わせて作りました。1908年のことです。紐のない現在の形になったのは1930年ごろでした。

そして「ローファー」という呼び名自体も、実は商品名から来ています。アメリカ・ニューハンプシャーのスポルディング家が同じ型の靴を作り、「The Loafer」と名付けた。それが一般名詞になりました。つまりこの靴は、名前を二回もらっているわけです。今回は4足それぞれの名前の由来をたどりながら紹介します。

目次

由来ごと語れる一足が欲しい人へ。ノルウェーを名前に残したアメリカ版:G.H.BASS LOGAN

G.H.BASSは1876年、アメリカ・メイン州ウィルトンで創業した靴メーカーです。1930年代半ばにアウルランドの靴を知り、1936年に自社版を発売しました。そのとき付けた名前が「Weejuns(ウィージャンズ)」。Norwegian(ノルウェーの)を縮めた造語です。よそから持ってきた形に、出身地を残した名前をつけた。

LOGANはそのウィージャンズのペニーローファーです。甲のストラップに入った切れ込みが、コインを挟めることから「ペニー」と呼ばれるようになった部分。素材違いで何種類か出ているので、標準的な一足が欲しければスムースレザーのものを選んでください。革は最初やや硬く、二、三週間かけて足の形に落ち着きます。ローファーは紐で調整できないぶん、最初にきついと感じるくらいが結果的にちょうどよくなる。ゆるめを選ぶと、伸びたあとにかかとが脱げます。

幅で悩んできた人へ。創業者の名字がそのまま社名になった日本の定番:HARUTA #906

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ローファーが学校の指定靴として全国に定着した国は、そう多くありません。日本はその珍しい例で、中心にいたのがHARUTA(ハルタ)です。1917年創業、社名は創業者の名字がそのまま。ノルウェーの漁師靴が太平洋を渡って、日本の通学路の風景になったわけです。

大人が選ぶなら#906です。本革・日本製で、幅は3E。学生向けの合皮モデルとは作りが違います。ローファーは甲の一点で足を支える靴なので、幅が合わないと甲だけが当たって痛くなる。3Eという選択肢が最初から用意されているのは、幅で諦めてきた人にとって現実的な入口になります。

仕事にも履いていきたい人へ。名前をアメリカから借りた日本の靴:リーガル

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リーガルの出発点は1902年、東京・京橋区鎗屋町(いまの銀座)に設立された「日本製靴株式会社」です。当時ばらばらだった5社の製靴部門を統合して生まれました。「REGAL」はもともとアメリカのブランド名で、1961年に技術提携で日本に入ってきたもの。1990年に商標権ごと取得し、社名も変えました。借りた名前を、最終的に自分のものにしたわけです。

いまも岩手と新潟の自社工場で作られています。日本人の足型を前提に木型を起こしているので、海外ブランドが合わなかった人にも合わせやすい。革の厚みが学生靴とは別物で、スラックスに合わせても足元が軽く見えません。ローファーはグッドイヤーウェルト製法とそれ以外が混在するので、ソールを張り替えて長く履くつもりなら、製法の表記を確認してから選んでください。

人と被らない一足が欲しい人へ。社名が1707年の戦いに由来するスペインの靴:Berwick 8491

Berwick(バーウィック)はスペイン・アルマンサの靴メーカーです。この社名、正式には「Berwick1707」といいます。1707年にアルマンサで起きた戦いで勝利した指揮官、ベリック公の名前と、その年号がそのまま社名になっている。町の歴史を屋号にしたわけです。アルマンサ自体は、有名ブランドの製造を長く担ってきた表に出ない産地です。

8491はタッセルローファー。房飾りがつくぶんペニーより少し華やかで、ジャケットに合わせたときの収まりがいい一足です。グッドイヤーウェルト製法で、甲の革が厚め。馴染むまで時間はかかりますが、そのぶん形が崩れにくい。「これ、スペインの町の名前と1707年の戦いが社名になってるんだよ」と言える靴は、そう多くありません。

まとめ:名前をたどると、4足とも違う場所に行き着く

ノルウェーの地名を縮めたアメリカの靴(G.H.BASS)、創業者の名字がそのまま残った日本の定番(HARUTA)、アメリカから名前を借りて自分のものにした日本の靴(リーガル)、1707年の戦いを社名にしたスペインの靴(Berwick)。同じローファーでも、名前の出どころは全部違います。

選び方の目安はこうです。由来ごと語れる一足ならG.H.BASS LOGAN。幅で困ってきたならHARUTA #906。仕事でも履きたいならリーガル。人と被らない一足に絞るならBerwick 8491。

最初の一足には、G.H.BASS LOGANをおすすめします。構えずに試せる価格帯で、形は元祖の直系。そして話がとても短く済みます。「これ、もとはノルウェーの漁師の靴なんだよ。Weejunっていう名前も、Norwegianを縮めたやつ」。ローファーの説明として、これ以上短くて面白いものはなかなかありません。

ひとつだけ補足を。ローファーは靴下との相性で印象が大きく変わります。素足に近い見せ方をするなら浅い靴下を、きちんと見せたいなら無地の細身を。同じ一足でも、そこで別の靴に見えます。

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日常の靴選びから仕事に合わせた靴選びなど、さまざまな靴に関する情報をお届けしています。あなたの足元を彩る一足を見つけるお手伝いができれば幸いです。お気に入りの靴を見つけて、毎日の生活を足元から豊かにしてください。

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