スニーカーの話をするとき、ナイキ・アディダス・ニューバランスという米国・ドイツ軸になりがちです。欧州スニーカーに興味が出てくると、次はイタリアやスペインのブランドへ——でも「フランスのスニーカーって何があるの?」という問いには、意外と答えられない人が多い。コモンプロジェクツは知っていても、あれはアメリカ資本のブランドで、フランス産ではありません。
フランスには固有のスニーカー文化があります——テニスシューズを高級スニーカーに昇華した1981年創業のブランド、1905年から農家の足元を支えてきたキャンバスシューズメーカーが今ではストリートウェアに、エスパドリーユとスニーカーを組み合わせたフランス発のハイブリッドブランド、2019年のパリで生まれたヴィーガンスニーカー。この4足は全部「フランスから来た靴」という事実が、話の入り口になります。
この記事では、「コモンプロジェクツの次に知りたい欧州スニーカー」として語れるフレンチスニーカーを4足紹介します。
「1981年、人間の名前をそのままブランド名にしたパリのスニーカー」——Philippe Model Paris Tropez
Philippe Model(フィリップ・モデル)は1981年にパリで創業した靴ブランドです。「フィリップ・モデル」は設立者の実名で——デザイナー自身の名前がそのままブランド名になった、という事実が「人名ブランドってどういうこと?」という会話を生みます。もともとはパリのテニスシューズカルチャーから着想したスニーカーで、「フランスのテニスシューズをラグジュアリーにした」という出発点が今のシルエットに直接つながっています。
Philippe Model Paris Tropezは、ソールの厚みとアッパーのバランスが「THE パリ感」のシルエットを作っています——厚底でありながら重くない、主張があるが上品というバランスで、ホワイトのアッパーにロゴがさりげなく配置されている。ジャケパンやトラウザーに合わせると「足元だけフランスにいる」という感覚が出ます。4足の中でラグジュアリー寄りの価格帯ですが、「パリで生まれたスニーカーを選んでいる」という会話ができる唯一無二の一足です。
「1905年のフランスの農家が履いていたキャンバスシューズが、今はストリートにある」——Pataugas Basile
Pataugas(パトガ)は1905年にフランスで創業したシューズブランドです。もともとは「農作業用キャンバスシューズ」のメーカーとして始まりました——「Pataugasって、フランスで1905年から農家の足元を支えてたブランドが、今はストリートファッションに転向してるんだよ」という変遷の話が、他のフレンチブランドには出てこない独特の文脈を持っています。ブランド名は古いフランス語で「水たまりをパチャパチャ歩く」という意味から来ています。
Pataugas Basileは、コートシューズとキャンバスシューズの間にある独特のシルエットです。ソールはラバー、アッパーはキャンバスで軽量。「ローテク感があるのに、どこかパリっぽい」という印象で、夏のリネンパンツやショートパンツに合わせると「これ何のブランド?」と聞かれます。個人的に、ブランドの背景を知ってから履くと120年の変遷の話が自然に出てくる——フレンチスニーカーの中でPataugasが一番「会話が続く靴」だと思う理由はそこにあります。
「エスパドリーユとスニーカーを組み合わせた、フランス発のハイブリッド」——Zespa ZSP4
Zespa(ゼスパ)はフランス発のスニーカーブランドです。「エスパドリーユとスニーカーを組み合わせた靴」というコンセプトで作られていて——「エスパドリーユってわかる?あの編んだ底の靴——それをスニーカーのアッパーと組み合わせたのがZespa」という説明が一言で終わります。「夏にしか出番のなかったエスパドリーユを、スニーカー感覚で年中履けるようにした」という発想がフランスらしい。
Zespa ZSP4を初めて足に入れたとき、「エスパドリーユってこんなにスニーカーと相性が良かったのか」と思いました。麻底の軽さはそのまま残っていて、スニーカーのデザインで使える場面が増えている。「エスパドリーユは好きだけど、もう少し汎用性が欲しい」という方は一度試してみてください。フランス南部のリゾート感と都市のシルエットが混ざった一足で、夏のコーデに取り入れやすい靴です。
「2019年のパリで、環境とデザインを両立しようとした若いブランド」——Caval Club
Caval(カヴァル)は2019年にパリで創業した若いスニーカーブランドです。100%ビーガン素材と倫理的な製造にこだわったブランドで——「2019年のパリで、環境とデザインを両立しようとした若いブランド」という現代性が語れます。「ヴィーガンスニーカーって、素材が全部植物性か合成素材で作られているんだよ——Cavalはそれをパリのデザインで実現した」という説明がシンプルに伝わります。
Caval Clubはナイロンアッパーと軽量ソールの組み合わせで、雨の日でも汚れが落ちやすく、夏の日常使いに実用的な設計です。デザインはパリらしいミニマルで、ホワイトベースに小さなロゴが入るだけ。「環境に配慮した靴って、デザインを我慢するものだと思っていた」という先入観を軽く裏切ってくれます。あなたがふだんのコーデで「何を選んでいるか」を足元で表現したいなら、Cavalは今の時代に合った答えを持っているブランドです。
まとめ:「フランス人は何を履くのか」への4足の答え
今回紹介した4足をまとめます。
- Philippe Model Paris Tropez:パリ1981年。人名がそのままブランド名のテニスシューズ起源スニーカー。ラグジュアリー寄りのパリシルエット
- Pataugas Basile:フランス1905年。農作業用キャンバス発祥がストリートへ。「水たまりをパチャパチャ歩く」の名を持つ最古参フレンチブランド
- Zespa ZSP4:フランス発。エスパドリーユ×スニーカーのハイブリッド。麻底の軽さとスニーカーの汎用性を両立した夏向きの一足
- Caval Club:パリ2019年。ヴィーガン素材×ミニマルデザイン。「環境配慮がデザインを犠牲にしない」を証明する最も新しいフレンチスニーカー
「パリ感のあるラグジュアリーなスニーカーが欲しい」ならPhilippe Model、「フランスの長い歴史を持つブランドで選びたい」ならPataugas、「夏のエスパドリーユをスニーカー感覚で使いたい」ならZespa、「環境とデザインを両立したブランドを選びたい」ならCaval——「フランス人は何を履くのか」という問いへの4足の答えです。個人的にPataugasをすすめます。1905年から農家の足元を支えていたブランドが今のストリートにある——この120年の変遷の話が、フレンチスニーカーの中で最も独自の背景を持っていると思います。














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