夏になると白スニーカーやベージュのシューズが増えますが、そこに黒スニーカーを一足持っている人のコーデは不思議とまとまっています。色が多くなる夏の服装を引き締める役割が、黒スニーカーにはある。ただ、「黒スニーカーならなんでもいい」かというと、そうでもない。
「どこのブランドの黒か」「どんな背景で生まれた黒か」——同じ黒でも、バスケットボールコートから来た黒、ヨーロッパのファッションシーンで育った黒、カルトなランニングコミュニティが大切にしてきた黒、それぞれに個性があります。「その黒スニーカーどこの?」と聞かれたとき、答えが一言で出てくる靴が理想です。
この記事では、「黒スニーカーならなんでもいい」から「どの黒スニーカーを選ぶかで差がつく」に切り替えたいメンズ向けに、誕生背景が違う4足を紹介します。
1980年代のバスケコートから来た、丸みのある黒が夏コーデを引き締める:New Balance BB550
ニューバランスがバスケットボール市場に本格参入したのは1980年代のことです。BB550はその時代に誕生したバスケットボールシューズのラストを復刻したモデルで、バッシュ由来の丸みのあるトゥと立体感のあるソールが特徴です。「ニューバランスのバスケットボールシューズが起源の靴」という背景は、SambaやスタンスミスはもちろんNBの他のモデルとも違う文脈で語れます。レザーアッパーが上質で、「スニーカーなのに丁寧に作られている」印象が手に取った瞬間に伝わってきます。
BB550の黒は、レザーアッパーのつやが夏のコーデをきれいに締めます。初めて履いたとき「このソールのボリュームが黒でまとまっているから重く見えない」と気づきました。ワイドパンツにもスラックスにも合わせやすく、「ニューバランスを黒で選んでいる」という選択が、グレー系を選ぶ人との差別化になります。
1991年のカルトランニングシューズ。知っている人が選ぶ黒:Saucony Shadow 6000
Saucony(サッカニー)は1898年にペンシルバニア州で創業した老舗ランニングシューズブランドです。Shadow 6000は1991年に発売されたランニングモデルで、メッシュとスエードを組み合わせたコンビアッパー・三角形のラグが並ぶアウトソールが特徴です。「サッカニー?」と聞かれることが多いブランドですが、スニーカーコミュニティでは「わかっている人が選ぶブランド」として長年カルト的な人気を持ち続けています。「1898年創業のランニングブランドで、Shadow 6000は1991年に出たモデルなんだよ」——そのまま会話になります。
Shadow 6000の黒は、スエードのマットな質感とメッシュの組み合わせが夏の日差しの下でも重くなりません。実際にBB550と並べると「同じ黒でも方向性が全然違う」と感じます——立体的なラグソールとコンビ素材が、より「スポーティな黒」を作っている。「サッカニー持ってるの?」と言われたとき、1898年創業の話から始められる靴です。
1983年発売のガーメントレザー。ヨーロッパが愛してきた上品な黒:Reebok Classic Leather
Reebok Classic Leatherは1983年に発売されたランニングシューズです。アッパーに使われているガーメントレザー(衣料品にも使用される上質な天然皮革)は、当時のスニーカーとしては異例の素材選択で、「高品質なレザーで作ったランニングシューズ」として登場しました。ヨーロッパのファッションシーンで特に人気を集め、「リーボックのクラシックを選んでいる」ということが、あるコミュニティではひとつの美意識の証でした。「1983年にガーメントレザーを使ったランニングシューズとして出た靴、それがリーボックのクラシック」という一言が、コンバースやバンズとはまったく違う文脈を作ります。
Classic Leatherの黒は、ガーメントレザーの光沢が他のスニーカーとは異なります。履いて気づくのは「この黒、他と光り方が違う」という感触——革の質があることで、黒スニーカーなのにドレスダウンしすぎない。夏のシンプルなコーデに一足加えると、足元だけが静かに「ちゃんと選んだ感」を出してくれます。1983年から変わらないシンプルなシルエットで、飽きずに長く使える一足です。
他にないスプリットタンの黒。1990年設計の異端スニーカー:ASICS GEL-Lyte III
ASICS GEL-Lyte IIIが設計されたのは1990年のことです。最大の特徴は「スプリットタン」——靴紐の部分が左右に分かれた二枚構造になっていて、舌革がずれないという実用性から生まれたデザインです。「その靴、なんか真ん中に切れ込みがある?」と言われる独特の外見が、他のどのスニーカーとも違う個性になっています。「アシックスというスポーツシューズの機能を突き詰めてきた日本のメーカーが、1990年に作った形」——この背景が、スプリットタンの意味を一言で説明してくれます。
GEL-Lyte IIIの黒は、スプリットタンのシルエットが横から見たとき特に印象的です。初めて4足を並べると「同じ黒でも全然フォルムが違う」と思う——BB550が「丸みのある黒」、Shadow 6000が「スポーティな黒」、Classic Leatherが「光沢のある黒」なら、こちらは「形で目を引く黒」です。夏のシンプルなコーデに一足加えたとき「その靴なに?」から会話が始まりやすいのが、この独自フォルムの強みです。今夏、黒スニーカーで一番差をつけたいなら、この一足が最初の候補です。
まとめ:同じ黒でも、選ぶ靴で印象が変わる
今回紹介した4足をまとめます。
- New Balance BB550:1980年代バスケコート出身。丸みのあるレトロシルエット×レザーが夏コーデを静かに引き締める
- Saucony Shadow 6000:1898年創業・1991年発売のカルトランニングシューズ。スエード×メッシュのマットな黒がスポーティに映える
- Reebok Classic Leather:1983年・ガーメントレザーのランニングシューズ。ヨーロッパが愛した光沢の出る黒でドレスダウンしすぎない足元に
- ASICS GEL-Lyte III:1990年・スプリットタン設計。「形で目を引く黒」として4足の中で最も個性が際立つ異端の一足
「夏コーデに自然に馴染む黒」ならBB550、「スポーティな黒でデイリーに使いたい」ならSaucony Shadow 6000、「レザーの質感で黒を上品に出したい」ならReebok Classic Leather、「足元で個性を出したい」ならGEL-Lyte III。黒スニーカーは選ぶ背景によってコーデへの影響が変わります。個人的にReebok Classic Leatherをすすめます。1983年発売のガーメントレザーが黒で光る靴——「同じ黒スニーカーなのに、なんか違う」という感触が毎日の足元にある一足です。














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